ロング・ディスタンス
 部屋でふて寝をしていると、部屋の呼び鈴が鳴った。
 宅配便が来たのかもしれないと思い、栞は液晶モニターのボタンを押す。
 液晶画面には見慣れた男の顔がドアップで移っている。
 太一だ!
 栞は思わずのけぞった。そしてモニターのスイッチを切った。

 太一が来ている! 
 彼が本土へ帰ってきて、栞の住むアパートにやってきたのだ!
 栞は仰天した。彼はあれほど「島を離れられない」と言っていたのに。
 床の上に投げ出してある携帯を手に取って、メールボックスをチェックすると、彼がこれからこちらに向かうと伝えるメールが何通も入っていた。
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