ロング・ディスタンス
 その時、駅舎から列車がもうすぐ到着することを告げるアナウンスが流れてきた。踏切がカンカンと鳴る音が聞こえてくる。

「あ、そろそろ行かないと」 
 太一は改札口を通った。
「じゃあ、返事はゆっくり考えておいてね」
 手を振った彼がプラットホームの奥に消えていった。

 栞は惚けた頭のまましばらくそこに立ち尽くしていた。
 しばらく経ってから栞の胸の中でうれしさがふつふつと湧き出してきた。
 答なんか一つに決まっている。太一さえそばにいてくれたら「何もない島」にだってどこにだって引っ越すつもりだ。
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