ロング・ディスタンス
 3月に栞とケンカ別れのようになった後、成美はそのことを職場の先輩で、仲の良い女性教員に相談した。
 30代のその養護教諭は、若い成美よりは人生の機微を多く経験している。彼女は「結局、問題っていうのは本人が自覚してどうにかしようとしない限り、他人にはどうこうできないものなのよ。竹村先生にははがゆいことだけどね」と言っていた。
 それはそうかもしれないと成美は思った。あの時は言いすぎてしまったかもしれないと思った。

 ふと新婦の友人の円卓を見ると、そこにはうつむいている栞の姿があった。
 彼女は来てくれていたのだ!
 成美の胸が高鳴る。
 でも、ブーケトスに参加してくれないなんて、一体どういうつもりなのだろうか。彼女としては、幸せそうな成美の姿を見せつけられるのはやっぱりちょっと複雑なのだろうか。
 それでも式に来てくれたということだけで、ホッとした。
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