ロング・ディスタンス
「あの、児島さん」
ふいに泉がたずねてくる。
「何?」
「児島さんは今度の金曜日の夜って忙しいですか」
「金曜日って今週?」
今週の金曜日は神坂が久々に会おうと言ってきている。こういう時、今までの栞なら二つ返事でOKしていたが、今回は珍しく返事を保留にしていた。
「はい」
「特に何もないけど、何で?」
「その日、うちの病院内の若手スタッフの集まりがあるんですよ。飲み会っていうか食事会ですかね。蛤料理専門の店に行こうって話があって」
「蛤料理?」
「ええ。蛤を使った料理ばかりを出す店です。酒蒸しとか炊き込みご飯とかお吸い物とか」
「へえ。蛤メインの店なんて初めて聞いたわ」
若者の集まりなのに、ずいぶんとまた渋い店に行くものだ。
「もし良かったら児島さんも一緒にどうかなって」
ふいに泉がたずねてくる。
「何?」
「児島さんは今度の金曜日の夜って忙しいですか」
「金曜日って今週?」
今週の金曜日は神坂が久々に会おうと言ってきている。こういう時、今までの栞なら二つ返事でOKしていたが、今回は珍しく返事を保留にしていた。
「はい」
「特に何もないけど、何で?」
「その日、うちの病院内の若手スタッフの集まりがあるんですよ。飲み会っていうか食事会ですかね。蛤料理専門の店に行こうって話があって」
「蛤料理?」
「ええ。蛤を使った料理ばかりを出す店です。酒蒸しとか炊き込みご飯とかお吸い物とか」
「へえ。蛤メインの店なんて初めて聞いたわ」
若者の集まりなのに、ずいぶんとまた渋い店に行くものだ。
「もし良かったら児島さんも一緒にどうかなって」