ロング・ディスタンス
 
 成美は今のこの幸せな気持ちを、高校時代からの親友、児島栞と分かち合いたい。大好きで大切な友人である彼女に、自分の結婚を祝ってほしい。そして、もし栞も誰かに恋をしているのなら、彼女の話を聞いてみたい。クラスでも美少女の評判が高かった栞が、今、どんな人に恋をしているのか知りたい。彼女のことだから、きっと優しい青年と恋をしているのに違いないと勝手に想像している。

 その後、成美は栞からのメールを受け取った。しばらく疎遠だったからちょっと不安だったけど、彼女は成美の誘いにこころよく応じてくれた。久しぶりに会うのが楽しみだと書いてくれた。
 成美は栞を駅前のカフェバーに誘った。あそこだったら、積もる話に長々と興じることができるだろう。成美も友達に会うのが楽しみでならなかった。

 その高揚感が苦い失望に変わるまで、さほど時間を要さなかった。
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