ロング・ディスタンス
 そして金曜の夕方がやってきた。 
 仕事が終わった栞は、会社の最寄り駅にあるトイレでメイクを直した。居住まいを正すと、いつもとは違う方向へ向かう電車に乗った。彼女はカバンから携帯を取り出し、メールを打ち始めた。
「これからホテルに向かいます」
 メッセージは神坂に当てたものだった。
 するとすぐに彼から自分もそこへ向かうという返信がやってきた。
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