ロング・ディスタンス
 気がつくと、肉の上に大量のコショウを振りかけていた。
「あ、コショウかけすぎちゃった! ごめーん!」
 成美は素っ頓狂な声を上げる。
「ずい分派手にまき散らしてくれたなぁ」
 光太郎が言う。
「だからごめんって。これ、私が責任を持って食べるからさぁ」
「あ、俺、コショウの風味って好きですよ。俺も食います」
 長濱が成美をフォローする。
「えー、でもこれ味濃すぎると思いますよ」
「いいです、いいです。俺、濃いの好きだから」
 医者らしからぬ不健康なことを言って、長濱は箸で肉をつまみ、口の中へ放り込んだ。
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