ふたりで過ごす夜のこと
ああ、また祐李(ユウリ)に怒られてしまった。
出会った時から毎日、彼は何かとわたしを叱る。
今はたぶん、リビングのソファーに寝転がって目を瞑っていたことを怒っている。
「違うよ、祐李。考え事してたの」
「ユキはいつもそう言って此処で寝るだろ!そのせいで何回も風邪引いてるじゃんか」
「でも最近は引いてないもん。祐李が抱っこして布団まで運んでくれるから」
少しだけ拗ねたようにわたしがそう言うと、祐李ははぁ…とため息をついた。
「ユキ。ユキはもう子供じゃないんだから。ちゃんと最初から布団で寝てください。ユキを運ぶのも楽じゃないんだよ」
「だからダイエットするっていつも言ってるもん」
「ばか。これ以上細くなられても困ります。俺が言いたいのはそういう事じゃないんだって」
腰に手を当てて、仁王立ちの祐李が困った顔をする。