ふたりで過ごす夜のこと
「ふふん、大好きーっ!」
わたしの言葉に、祐李がふって笑ったのが背中越しに伝わった。
「俺もー、大好きー」
わたしの真似をして語尾をのばす祐李が愛しくて仕方がない。
そしてわたしは目を瞑って、温かいドライヤーの風を受けながら、祐李の手の感触だけを感じる。
ドライヤーの音が大きいから、今はそれ以外に何も聞き取ることはできないくて、視覚も聴覚も塞がれていると、今度は触覚が敏感になるんだなあって思った。
気持ちよさに少しだけ眠気が襲ってきて、このままベッドへ行って眠りたい気分になった。
しばらくうとうとしていると、ドライヤーの風を止めるカチって音がして、祐李の声がした。
「はい!終わったよ」
少しの達成感を含ませた声。そして仕上げにもう一度櫛で髪の毛を梳かしてくれた。
「完璧ー!」
「祐李ありがとうー!」