鬼神姫(仮)
──覚醒と呪縛。
それらが陽達にのし掛かった運命だった。
鬼神姫、花神姫、四人の番人。
現彼等は、全てが嘗ての彼等の生まれ変わりであった。
葛姫、花雪姫、霧原龍、花邑景、酉嶋凪、氷沢呉。
雪弥、早雪、銀、陽、渚、巴。
それらは、まさしく彼等の転生後の姿。
様々な思惑が巡り、裏切り、葛藤、憎悪。総てを抱えたまま、転生を成した。
けれど、覚醒済みなのは陽のみだった。
早雪と巴、そして渚は覚醒ではなく、総てを記憶したまま幾度も転生を繰り返している。その他の者、今世が初の転生なのだ。
「……私はずっと、景様を求めてきました。景様だけが、私の総てだと。でも、先輩と出逢って、その総てが消えたんです。先輩が私の愛する人だから。それは、景様だからじゃ、ない。先輩だからなんです」
それは、陽も同じ想いだった。前世でも愛し、今世でも愛する。遠い昔、それは呪縛のようにしか思えなかった。
それでも愛しいと思った。そして、それは早雪だから愛しいと思ったのだ。
「……白瀬様に会わせて下さい」
早雪は涙を拭って、そう言った。