鬼神姫(仮)
でもそれは言ってみただけのものであり、本当の意味では理解など出来ていないのだろう。
生まれながらにして決められた役目。
それは一緒かもしれない。それでも鬼と人。
見た目は寸分違わぬとも、そこにちがいがあるのは確かだ。鬼と人は昔から相容れぬ存在。
人間が語る昔話だってそうだ。
何時だって、鬼は悪の象徴のような存在。何時だって、鬼は退治されるのだ。
そんな人間に助けられることを緋川達だった内心穏やかではいられないのだろう。否、緋川は特に、か。
なら、鬼から見たら何時だって理不尽に退治する人間の方が……。
雪弥は頭(かぶり)を振った。あれこれ考えても仕方無い。なるようにしかならない、と考えるのは諦めなのだろうか。
銀が従わないというならそれもよい。そのときはきっと緋川が……。
ーーもう寝よう。
雪弥は考えることを放棄して布団に潜り込んだ。