鬼神姫(仮)
「用がないのなら、失礼致します」
雪弥は酉嶋の視線を無視して立ち上がった。それに対して一部の女子から小さく避難の声が上がるが、雪弥はそれにも無視を決め込んだ。
どうして思い通りに行かないのか。
――昔から決めていたというのに。
決めていた、というよりはそうでありたいと願っていた。そうなりたいと願っていた。それでも上手くはいかなくて。
「……また無視、か」
雪弥が去った教室で、酉嶋はぼそりと呟いた。すると直ぐに彼を取り囲むように女子が群がるが、酉嶋はそれを相手にせずに無言で教室を出ていった。