鬼神姫(仮)
ーー早雪と初めて会ったのは十二歳のときだった。
二つ下の少女は、陽の顔を見るなり、明るい笑顔を向けてきた。
そこにはもう、二人の運命があった。
幼い頃から何度も聞かされていた話が頭を回った。
惹かれることを拒めない。惹かれるしかない。まるで鎖で繋がれたかのように、寄り添うことを決められていた。
目の前にいれば手を伸ばしたくなり、触れたくなる。
見詰め合えば、愛を囁きたくなる。
何がそうさせるのか解らなかった。ただ、愛しいと感じた。
だけどそれが自分の感情だとは思えなかった。自分の中に眠る何かがそうさせていた。
彼女の手を取れと、彼女を抱き締めろと言っていた。
当然、反発した。
彼女以外の女を見ることに必死になった。彼女以外の女なら誰でもいいと思った。
それでも陽の心が求めるのは早雪だけだった。
そして、早雪も陽を求めていた。