鬼神姫(仮)
「どうしたらいいと思う? なんて訊くなよ」
心を見透かされた。
「命運なんて、生まれたときから決まっている。どんなに拒んだって、望まなくとも、巻き込まれることもあれば、どんなに望んでも、どんなに願っても傍観者、てこともある」
言われればそうなのかもしれない。だが、本当にそうだとは信じられなかった。
生まれてきたときから総てが決まっているなど、到底信じたくなどない。
「でも、変わることもある。でもそれは、行動に移したときのみ。逃げれば何も変わらない。変えられない」
知羽は真っ直ぐに銀を見詰めてきた。真っ赤な瞳が銀を捉える。
逃げれば。
もしここで、番人の務めを果たさなかったとしたら、それは逃げたらことになるのだろうか。
正直、判らない。
「……何で、握り飯なんだ?」
手に残る、後少しの握り飯に視線を落としながら知羽に訊いた。先程から質問しかしていない。