think about you あの日の香りとすれ違うだけで溢れ出してしまう記憶がある
平井は私が愛した男の中でも、かなり最低な部類だ。
「浮気しようなんて言ってくる男は最低やぞ!」
私に声を荒げて警告してくれる人もいた。
だけど、私は平井の口から出る台詞に酔わされたくて、彼のそばを離れようとしなかった。
平井は華のある男だった。
男女問わず、みんながみんな魅了された。
そんな平井の一番近くで、ゴロゴロと甘えて見せるのが好きだった。
実際、平井と過ごした時は3カ月にも満たなくて、浮気してたのがそのうち2カ月だったから、恋人だったのは1月くらい。
それでも、その経過が濃密で、忘れ難い記憶になっている。
平井は優しくて、愛情が深い。
とてもはっきりと愛情を表現してくれる。
付き合っていた当時、平井に聞いたことがあった。
「…ねぇ?10年後、って、どうしてると思う?」
「おまえが?」
「そう。」
平井はカラリと笑って見せて、はっきりと答えた。
「そりゃ、おまえ、俺と淡路で農業だろ。」
今でもはっきりと浮かんだビジョンを思い出せる。
こんなに未来をはっきりと描けたのは、生涯でこの時だけ。
青田と積乱雲。
隣で笑う平井は、日焼けしてて、私の鼻の頭の汗を拭う。
いいな、そんな未来…。
平井の実家は淡路島。
のびのびとした青春期を送り、高校から姫路で剣道一筋。
力強い腕っぷし。
見た目、喧嘩も強そうだ。
でも、私がいるときは、売られた喧嘩も一度も買わなかった。
私は悔しい思いをしたけど。
「お前おるからなぁ。」
と、涼しい顔でやり過ごす。
悔しいのに、そんな平井が大好きだと思った。
ありがとう。
人生で一番荒れた時代に、私を強い包容で励ましてくれた。
あの時の、平井の肩越しに見た星空。
今でも忘れられない。
駅につくと、平井が迎えに来て、待っててくれた。
堤防をバイクで二人乗りしたら、私の手が凍るように冷たくて、本気で焦ってたね。
雨の日は、コートの中にタオルを入れてきて、私をくるんでくれた。
大事そうに、抱き締めてから、ヘルメットを被せて
「ちょっと、がまんな。」
と言って部屋まで連れていってくれた。
お風呂が沸いていて、すぐに温まれるようになっていた。
私は、そんな平井に甘えることしかできなくて、結果ふられたんだけど、ほんとに感謝してる。
ありがとう。
「浮気しようなんて言ってくる男は最低やぞ!」
私に声を荒げて警告してくれる人もいた。
だけど、私は平井の口から出る台詞に酔わされたくて、彼のそばを離れようとしなかった。
平井は華のある男だった。
男女問わず、みんながみんな魅了された。
そんな平井の一番近くで、ゴロゴロと甘えて見せるのが好きだった。
実際、平井と過ごした時は3カ月にも満たなくて、浮気してたのがそのうち2カ月だったから、恋人だったのは1月くらい。
それでも、その経過が濃密で、忘れ難い記憶になっている。
平井は優しくて、愛情が深い。
とてもはっきりと愛情を表現してくれる。
付き合っていた当時、平井に聞いたことがあった。
「…ねぇ?10年後、って、どうしてると思う?」
「おまえが?」
「そう。」
平井はカラリと笑って見せて、はっきりと答えた。
「そりゃ、おまえ、俺と淡路で農業だろ。」
今でもはっきりと浮かんだビジョンを思い出せる。
こんなに未来をはっきりと描けたのは、生涯でこの時だけ。
青田と積乱雲。
隣で笑う平井は、日焼けしてて、私の鼻の頭の汗を拭う。
いいな、そんな未来…。
平井の実家は淡路島。
のびのびとした青春期を送り、高校から姫路で剣道一筋。
力強い腕っぷし。
見た目、喧嘩も強そうだ。
でも、私がいるときは、売られた喧嘩も一度も買わなかった。
私は悔しい思いをしたけど。
「お前おるからなぁ。」
と、涼しい顔でやり過ごす。
悔しいのに、そんな平井が大好きだと思った。
ありがとう。
人生で一番荒れた時代に、私を強い包容で励ましてくれた。
あの時の、平井の肩越しに見た星空。
今でも忘れられない。
駅につくと、平井が迎えに来て、待っててくれた。
堤防をバイクで二人乗りしたら、私の手が凍るように冷たくて、本気で焦ってたね。
雨の日は、コートの中にタオルを入れてきて、私をくるんでくれた。
大事そうに、抱き締めてから、ヘルメットを被せて
「ちょっと、がまんな。」
と言って部屋まで連れていってくれた。
お風呂が沸いていて、すぐに温まれるようになっていた。
私は、そんな平井に甘えることしかできなくて、結果ふられたんだけど、ほんとに感謝してる。
ありがとう。