think about you あの日の香りとすれ違うだけで溢れ出してしまう記憶がある
you

別離


ルルル…。

「はい。」

「マーが、ミシシッピに行く事になった。」

「…。え?マジか!」

ひさしぶりに、ぐっちゃんに電話した。

マーが、ミシシッピ行きを決めた。

二人の共通の知り合いのマーがいなくなる。

ぐっちゃんに揺れる気持ちを落ち着かせるために、マーと付き合っていた私。

だけど、マーはいつの間にか私の生活の一部になりつつあった。

こんなはずではなかったのに。

今はもう、マーについていこうとする、女っぽい私がいる。

任期はおよそ、2年。

待てない。そんなに待てない。

一大決心をして、マーに寄り添う意思を伝えた。

反応は意外なものだった。

マーは、独身寮だから連れていけないと、私を拒絶。

マーの友人に、似たような立場の人がいて、彼は任期を終えてから遠恋していた彼女と挙式したらしい。

なぜ、そんな話をするのだろう。

私は、待てない。

会えないなら、触れあえないなら、付き合う意味などない。

私はフィジカルに重きをおく女だ。

そんなことくらい、マーは百も承知だと思っていたのに。

マーとの歯車が噛み合わなくなった瞬間だった。

別離を決めると、悲しみが背後から押し寄せる。

私は終始泣きじゃくった。

子供のように、嗚咽をもらして。

もう、マーに会うことはない。

そう思うだけで、息がつまる。

それでも、やはりマーには理解できない様子で、私に泣かないでと、声をかけるばかり。

マーとは、最後まで心が通うことはなく、終わった。

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