ヘビロテ躁鬱女
「あら大変、狂子! お皿を割ってしまったの? ……仕方がないわねぇ。

それじゃあ母さんが運ぶわ……待っていたら折角のお料理が冷めちゃうじゃない」


母はお皿が割れた音で居間に駆けつけたようだったが、冷たい眼で見下ろし、台所へと戻っていった。


なにも起こっていないかのように酒を煽る父親。姉を馬鹿にし続ける妹。ちょっぴり優しいかも知れないが、関心のない母親……。


料理が運ばれ食卓は彩られたが、口に入る食べ物は毎度毎度、味を感じられなかった。


私の隣には、酔っ払って永遠に暴言を吐き続ける父親もいるから……。


――この家に帰りたくない。


出て行きたい……。
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