ヘビロテ躁鬱女
いつしか、頭の中で繰り返すようになっていた。


――今日も帰りたくない……。


アルバイト先で夜ご飯を食べていたほうが、どれだけ幸せだろう。


お母さんの料理は美味しい。嬉しいけど、お父さんや鬼黄泉がいると味がしない……。


中学、高校は当たり前のように、いろいろなことを諦めていたが、アルバイトを始めてからは蚕から蝶に生まれ変わったように衝撃を受けた。


こんな暮らしは、同僚はしてないと言う事。いろんな人たちと食べる御飯が、こんなにも料理の味を変えるという事。


そして、こんな私でも良いという男の人が、何人も現れた事――。


ますます私は家に帰りたくなくなった。
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