ヘビロテ躁鬱女
「え、愛子。いきなり狂子と同じ時給にアップしたの?」


衣舞は思わず、声を震わせていた。自らよりも時給が高い愛子に驚きの面持ちだった。


「そうだったんですか? 店長ったら優しい~! お腹の子に気を使ったのかなぁ~? 

いや、実力が認められたんですね、きっと。ねぇ? 狂子さん」


私から見ればろくに働いてもいないのに、子供がいるだけで同じ場所まで上り詰める……そんな話は絶対に認めたくはなかった。


この日から私は、今まで考えていた思考がガラリと変わった。愛子に対しても、店長に対しても――メラメラと怒りの炎が胸を熱くした。


正当では無い理由。


権力、権限、圧力、威圧――絶対にこいつら、許さない。
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