ヘビロテ躁鬱女
「相談というか、報告ですぅ。皆さんに心配をお掛けしていたのでぇ……

彼と相談したんですけど、やっぱり親の力には敵わないみたいで――おろすことにしました」


愛子は自暴自棄のように、ビールを一気に飲み干した。衣舞はそれを見て、すかさずウーロンハイを作り出した。


「どうして彼の両親は反対するの？　だって何の病気か知らないど、働かない彼の面倒を見ているのは愛子さんなんでしょう？」


テーブルに運ばれてきた枝豆をぷちっと口に入れ、眼を合わせず問いかけた。


「狂子さんには分らないんですよ。衣舞なら分ってくれるよね？　施設で育った負い目」


愛子は衣舞にすがるような眼で見つめた。


「分るけど……」


「でしょ？　施設で育ったというだけで偏見な眼差し……狂子さんには分らない。それがどれだけ冷たいものなのか。

そもそも子供を生んだら、彼の両親は彼と、彼の子供を面倒見なきゃならない。私しか働くすべがないのだから」
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