ヘビロテ躁鬱女
「彼は私のことを今も本当に好きなのかは分からない。空気なのか、情なのか、それとも金を運んでくる働き蜂なのか……

どう思っているのか分からないんですぅ。ただ理解できるのは、彼は束縛野朗ってことです」


なんともいえない顔で横溝もウーロンハイを作り出した。


「私も施設育ち、確かに偏見の眼を感じたことはある。でも関係ないんじゃないのかなぁ? 

彼の両親の考え方の問題だよ。早く別れちゃいなよ。愛子はまだ好きなの? その彼のこと?」


「ごめん、トイレに行ってくる。構わず話を続けて」


彼女の相談に乗る気はなかった。今日は自分の話を聞いて欲しかったのに、逆にイライラがつのるだけだ。


「……あ、狂子さん? 来てたんだ」


トイレ前でバッタリ会ったのは鉄平だった。パッと笑顔になり、気分がみるみると明るくなった。
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