ヘビロテ躁鬱女
「じゃあ俺たち、帰りますんで。一応挨拶に来ました……それじゃ」


鉄平は、いつもの母性本能を擽るような笑顔を作り会釈した。


「ちょっと待ちなさい鉄平」


衣舞は去ろうとする鉄平を足止めした。目線を上にあげ、鉄平を見据えた。


「どうしたの衣舞さん、怖いよ? 変だなぁ、みんな……」


「狂子がね、新庄さんに告白されたんだって。どう思う? 付き合うって言い出してさ、止めてよ!」


和歌子は驚き、鉄平の顔を見上げた。掴んでいる腕が、力強く食い込んでいる。
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