ヘビロテ躁鬱女
「衣舞? さっきまでここにいたよ。お前が寝てしまったし、俺のことを信用して預けていった。

だから、あいつのことは恨むなよ? 俺たちの祝福の一歩を授けてくれた、大切な人なんだから……

はぁ――ああ」


この男は陶酔している。視点がどこを見ているのか分からない。


「貴方の気持ちなんて知らなかったわ? 見てみぬ振り以前の問題よ! は、はなして……」


裏腹に上下する物体。


体にドロリとした汚物が流れた。


停止した時間。


男の息遣いだけが、静かに木霊する。
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