ヘビロテ躁鬱女
 横溝はキングサイズのベットから下り、カーテンを開けた。


「この家。坂を上がったところに建っているから良い眺めなんだ……

2階建てで広いだろう? 親父、お袋、兄貴は俺が中学の時に出ていった。ずっと一人ぼっちだったんだ。

付き合った女は何人かいたけれど、寂しさを紛らわしていただけ……お前だけは違う。本気なんだ。

ここには好きな時においで――お前が欲しい」


見えた窓の外には、満月がユラユラと揺れていた。


まだ体に熱く残る、酔いのせいなんだろうか……それとも瞳を潤ませる、雫のせいなんだろうか――。
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