ヘビロテ躁鬱女
「制服なんて関係ないよ。か・おでカバーあ!」


「時給上げてくれれば、文句は言わないのになぁ~ちぇっ」


もっとも衣舞に惹かれたのは、養護施設で育ち、家族が居なかったという点なのかも知れない。


お互い、家族にわだかまりを持つ同士、心を通わせるのは容易いことだった。


「調理場の皆さん。おはようございまーす!」


おはよう! と、一声に返ってはくるが、調理場はホールを相手にする余裕はない。基本的に挨拶のみだ。


そう考えると、調理場の人間と一番話しをしているアルバイトは私かも知れない。


「ねぇ、私、今日めちゃくちゃに冴えてるの……目立たない掘りごたつへ行きましょう?」


「なに、何よ?」
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