ヘビロテ躁鬱女
 言われるまま布巾を持ち、衣舞の後姿を追った。店は広く全部で200席あった。


窓際はカウンターになっており、外を見ながらお酒が飲める。


店の殆どを占めるテーブル席と、左奥には掘りごたつのテーブル5つとお座敷5つが設置されていた。


お互い距離を少し取り、こっそりと会話の続きを始める。


「衣舞、冴えているって? もしかして、また未来が見えたの……?」


「……実はそうなの。多分今日、背が低くて可愛い女の子が入ってくると思う。そんな未来がふと、頭に浮かんだの――」


衣舞の言う未来。今まで話を聞いていて、ハズレることは無かった。


――また可愛い子が入ってくるのか……。


なんだか、モヤモヤっとした気持ちになった。
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