ヘビロテ躁鬱女
 和歌子を見据えた。


駄目と言えば鉄平を返してくれるの? 


馬鹿な考えに惨めになり、席に着く客達に視線を移した。


「私は関係ないよ。鉄平が和歌子を選んだだけでしょう?」


「そうだけど……」


和歌子は口をつぐみながらも、目だけはキョロキョロと動かし、鉄平の位置を把握している。


遠慮なんて始めからしていないくせに。
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