ヘビロテ躁鬱女
 名前を呼んだだけなのに、あんなに幸せそうな顔をして……。


心配ない。この分ならきっと、鉄平のことを忘れられる。


きっと大丈夫――。


「ねぇ、狂子さん。教えて欲しいことがあるの。ちょっとこっちへ来て」


「なに、愛子さん!?」


愛子は伝票とメニューをいじりながら、私の腕を引っ張った。仕事をしている素振りらしい。


この人が私と同じ時給だなんて笑える――。


「離してよ! 一体なんなのよ。分からないことなら衣舞や小雪さんに聞いてよ」
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