ヘビロテ躁鬱女
「私の頭に浮かぶくらいだから、この店にとって重要人物かも知れない……今から胸が、ちょっとだけドキドキしているの」


「そう、衣舞にとっても良い人なのかな? 当たるといいね!」


それは本心だった。お店も人間関係も楽しければ良かった。


「おっはー! いつも2人でコソコソ話をしちゃってさ、俺も混ぜてよ!」


武藤鉄平が出勤してきたようだ。


眼が細く、いつも垂れている。太鼓持ちのような1つ年下の男の子。小動物のようなその顔は、ついつい釣られて微笑んでしまう。


この子はなぜか、もてる顔ではないのに女の影が付きまとっていた。くったくない笑顔が母性本能をくすぐるんだろうか? 


外面の悪い私に、いつも可愛く纏わりついて来た。
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