ヘビロテ躁鬱女
 口を小さく開き、焼きソバを受け入れる。


「美味しい? ソースは、こだわりの甘辛味だよーん! どう?」


「うん、美味いよ。ビールに合うね」


遠い眼。結局テレビも食べ物も見ていない。


彼の目つきに、胸がズキッっと痛む。


――貴方を手に入れたのに、これじゃあ……


鉄平の隣に座り、また焼きそばを口に運ぼうとした。


「大丈夫だから、一人で食べれるよ……和歌子もゆっくりしな?」
< 275 / 417 >

この作品をシェア

pagetop