ヘビロテ躁鬱女
「ふーん」


そっと鉄平は私の髪の毛を撫でた。手の平から熱が伝わって心地よかった。


「でもさ、猫って我儘なんでしょ? それは嫌だな……」


太ももに絡ませている腕にぎゅっと、力を入れる。


「……鉄平、ねずみになってみる?」


「え、何それ? 本当に変な和歌子」


空になった缶ビールを潰す音が頭の上で、ぐしゃりと鳴った。
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