ヘビロテ躁鬱女
「ううん……なんでもない。気のせいだと思う。少しだけ嫌な予感がしたような。

――飲み会で分かるよね、どんな人なのか? 今日は飲み明かしましょう!」


衣舞は苦笑いで、言葉を返した。


「え! 今日、飲み会があるんですか! 俺も行く~! 狂子さんが行くなら行くぅ~!」


鉄平は私の肩を触りながらお喋りをする。この子だから許される特権だろう。


小動物のような微笑に憎めず、ついつい器が大きくなってしまう。


「挨拶は終わったんだろ? 仕事しろよ。厨房は忙しいのに、のん気にしてんな」


――横溝輝!!!! 話に入ってこないでよ。


私はあからさまに、ムッとした表情を作った。
< 29 / 417 >

この作品をシェア

pagetop