ヘビロテ躁鬱女
「……なにも。仕事で飲み会が多くて」


苦しい言い訳をした。


説得力のない言葉は、この父親には効かないと分かっているのに。


「毎日、毎日、そんなに飲み会なんてあるはずないだろう! どこを泊まり歩いているんだ?」


……うるさい。この痣を見て気づかないんだろうか? 心配が先なんじゃないの?


「これからは気をつけるから。ちょっと疲れてるんだ、休ませて」


父親の眼を真っ直ぐに見据えた。


鬼黄泉の気持ちは分かるのに、なんで私の気持ちは分かってくれないんだろう?
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