ヘビロテ躁鬱女
 このビルは、上のカラオケ以外、飲食店で埋まっていた。


4・5階はカラオケルームメロディ、3階は家の店舗の海の愛。山の恋。2階は白樺、1階は牛丼屋の町屋が入っていた。


私達は居酒屋を改めて探すのも面倒なので、退勤したら即飲める下の階で、もっぱらお世話になっていた。


「俺。店長もこっそり誘っておきますよ、歓迎会なら来るっしょ! 奢ってくれるしぃ~顔を出してもらわないと」


「流石鉄平。お主も悪よのうぅ! 良いアイデアじゃん。じゃあ、そっちは任せるね!

忙しくなって来たぁ! 狂子、また後で打ち合わせしようね。ちょっと行って来る」


「うん和歌子。頼むね!」


なんだか胸騒ぎがする。いつもの飲み会と違う感じ……


一抹の不安が過ぎったが、気のせいだと思い直し、お通しを付ける準備をした。
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