ヘビロテ躁鬱女
 無言の間がジリジリと俺の首を絞めていくようで気持ちが悪かった。


なにより和歌子の指が震えている。


「鉄平……私と付き合う時に言ってくれたよね? 狂子のことは忘れたい。私と向き合っていきたいって――」


「そうだけど……だから今も一緒にいるし」


「だったらこの番号やアドレスを消して欲しい。出来るよね?」


静寂に満ちる部屋。


出来るに決まっている……だけど尾を引く、この蟠りみたいなモノはなんだろう。


「なんでもないのに変な和歌子。そんなに気になるんだったら消せよ」
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