ヘビロテ躁鬱女
「いらっしゃいませー! ご新規2名様です」


入り口前のレジ横に立つ店長から、気合のある呼びかけがホールへと向けられた。


なにかを考えて作業するよりも動いてるほうが性に合っている。


「衣舞、お通しつけておいてくれる? 私行って来るよ」


「あ、ありがとう。狂子は真面目で機敏だね~」


笑いながら受け答えをし、丸いお盆にお通しと小皿、おしぼりを用意した。


笑顔で入り口に出迎えると、カップル1組が立っていた。


新規を誘導する店員は慣れている人間と決まっていた。いつも私は躊躇せず真っ先に飛んで行く。


「こちらへどうぞ。お客様」
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