ヘビロテ躁鬱女
 怒りを堪え、衣服を引き寄せ鞄に詰めた。


――早くここから出ていなくっちゃ。


「ねぇ。狂子おねえちゃん? どこへ逃げるの? あれあれ、その痣なあーに?」


ニタニタと妹は顔を覗き込んだ。八重歯を覗かせ、顔だけは美しい鬼女のようだった。


「なんでもないわよ」


「お父さんが言っていた、男に付けられた痣ってこのことね!」


――お父さんが? まさか、そこまで酷いことを?


「嘘よ! いくら口の悪いお父さんでも、そんなことを言うわけないわ!」 
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