ヘビロテ躁鬱女
「じゃあ、なぜ私がその事実を知っているの? お父さんしかいないじゃない。

お姉ちゃん、殴られた男の所へ逃げるの? 真性の馬鹿ね」


衣服を掴む手が、徐々に怒りで震えてくる。


――お父さんは私のことを本気で嫌いなんだ……。ここで泣いたら負けだ。


絶対に、この家では涙を見せない。


「早くいきなよ、この部屋は私のモノ。もう戻って来ないでよね? 狂子おねえーちゃん」


眉間が容赦なく引き攣る。堪忍袋の緒というものがあるのならば、誰かその手で引き千切って欲しい。


なんで鬼黄泉はいつも攻めるの?  小さい頃から、私のすべてを奪ってきたくせに――!
< 322 / 417 >

この作品をシェア

pagetop