ヘビロテ躁鬱女
 通常ならカップルというと、カウンターに入れたい所だが、まだ客は少ないし暇だ。


静かなテーブルに誘導してあげよう……。


通路を真っ直ぐに歩いていく。途中、新庄さんと横に居た、森園がこちらを見ていた。


――教えているからだよね。見られてると緊張する……。


テーブルにお通しを置き、おしぼりを1本づつ、お客様に差し出す。


20代後半ぐらいだろうか? 仕事終わりのような雰囲気もあった。


ここ水道橋は、サラリーマンと学生、後楽園帰りの家族連れが多かった。


「いらっしゃいませ、お客様。お飲み物のご注文がお決まりでしたら、お伺い致しますが?」
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