ヘビロテ躁鬱女
 入り口で出迎える店長の声で我に返った。


――仕事を優先しなきゃ。今日は確か、お座敷に宴会も入っていた。気合いをいれなきゃ。


「いらっしゃいませー!」


大声を出すと吹っ切れたように、仕事の思考回路へ直結した。


なにも考えなければ、苦しみは生まれない。


「ご新規私が行きます!」


睨みを利かすホールスタッフを横目に、進んで仕事をこなしていった。


「狂子さん、久々だからかな? 気合入ってるぅ~和歌子もがんばりな」


「……鉄平」
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