ヘビロテ躁鬱女
 弱みを見せるようで、言えずにいた。


「なんで電話を掛けたの? 取り戻したかった? 付き合いたかった? ねえ!」


なんて言えば良いのか分からなかった。頼りたかったのが、ただ鉄平だった。それだけ……奪おうなんて決して――


「また、だんまり? 消えてよ! 私たちに一切関わらないで! 鬱陶しい、ここの仕事も辞めたら!」


耳を劈くような悲鳴。


……本当――私、辞めた方が良いのかな。


暗闇に片足を突っ込み、落ちそうになった。その闇は谷底のようで一度落ちるとなかなか這い上がれない。


いつからこの闇は私の側に出来てしまったんだろう。
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