ヘビロテ躁鬱女
「そうだね。私辞めた方が良いかもね。ごめんね、和歌子。迷惑ばかり掛けちゃって……」


心の底から微笑んだ。笑顔を見せないと、今にも崩れてしまいそうだった。


辞めたらどうなるんだろう? 輝の家にずっといることになるのかな……


「分ってくれれば良いよ。鉄平の心を乱さないで! お願いね」


「……うん」


和歌子は結局食器をなに一つ持たず、ホールへ戻った。


また頭に結婚という文字が横切る。


――いっそう、婚姻に逃げてしまおうか……家からも仕事からも逃げ出すために。
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