ヘビロテ躁鬱女
 すべての食器をお盆に載せ、テーブルを拭き終わり、トレーをそっと持ち上げると急に両手が軽くなった。


――え?


そこにはトレーを取り上げた鉄平が立っていた。


「良いよ鉄平……私が運ぶから。重くないし大丈夫だよ。それ貸して」


「和歌子に、なにか言われてたね。俺のこと? 嫌なんだよね。そういうの。俺は俺だし、指図されたくないんだよね」


「違う、違うよ。それ貸して。また和歌子に疑われちゃうよ?」


「いいから。気にしないで。狂子さんは自分のやりたいようにやって。落ち込む狂子さんは見たくない」
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