ヘビロテ躁鬱女
 そう思い立つと席を立っていた。


和歌子には、お酒を取ってくると言ったが、狂子さんがトイレから出てくる時間を完全に見計らっていた。


手には、こっそりとおしぼりを忍ばせていた。


――もし……輝さんと別れて、新庄さんと付き合うようにでもなったとしたら――?


馬鹿だ俺。ネガティブな考えばかりが思い浮かんでしまう。


和歌子は嫌いではないんだけど……狂子さんの姿が脳裏をかすめてしょうがないんだ。


今もこうして通路で待ち伏せしているだけで、体が硬直し緊張してしまう。


だけど胸の奥では、穏やかな暖かい気持ちが、ほんわかと広がるんだ。
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