ヘビロテ躁鬱女
「……ジッとして」


強引な手段に出てしまった。どうしても二人きりで邪魔が入らないように話したかった。


背後から狂子さんの口元を押さえ、備品倉庫に連れ込んだ。


狂子さんの優しい人柄も大好きだった。いつも甘える俺に思いやりを見せてくれた。謝れば許してくれる。そう踏んでいた。


「強引なことをしてごめん。どうしても二人きりになりたかったんだ……」


驚いた顔をして振り返った狂子さんと目が合った。潤み、とても大きな瞳だった。


――やっぱりこの人を嫌いにはなれないし、忘れられない。
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