ヘビロテ躁鬱女
 言い辛いけど、折角作った二人きりの時間。絞り出すように思いの丈をぶつけた。


自ら望んだ嬉しい状況なのだけれど、テーブル席にいる和歌子の存在が、脳の片隅には小さく寂しく残っていた。


だけど、次の狂子さんの言葉で一変した。


思わず耳を疑ってしまったけれど、確かに聞こえた。


――会いたかった! 会いたかったの……


え……俺に? 


気づいたら、少し乱暴に両手を背中に回し、力を込めてぎゅっと抱きしめていた。


壊したくないのに、壊れてしまいそうなくらい抱きよせた。


華奢な体が愛おしい。
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