ヘビロテ躁鬱女
「どうすればって?」


「……実家に帰りたくないの――」


輝の全身を衣舞に預け、肩から提げていたバックから鍵を取り出した。冷たくなったドアノブに差込み、くるりと回すが、即答は聞けなかった。


「開いたよ。入って……私たちの部屋だった場所は、2階にあるよ」


気を使い「だった」という過去形を使った。輝は全く聞こえていないのか、目を瞑っていた。


「ありがとう。この前は私も酔っ払っていたし、じっくり部屋を見れなかったんだよねぇ……狂子、ちょっと手伝ってくれる? 輝が眠りそう」
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