ヘビロテ躁鬱女
変だなぁと思いつつも、私たちの愛の巣だった部屋の前で立ち止まった。ドアをノックし開けようとしたが、それを躊躇されせる声が聞こえた。


「……狂子? そんなに動かしたら――」


「輝……私衣舞よ。衣舞なの。貴方を全身で受け止めてあげるから……そのままでいて――」


――ギシギシギシギシ……


更に軋む音は増していった。


――そういうことか……。


私は肩を落とした。ずっしりと重石が何個も乗せられたみたいに。


なぜか落胆し、お酒は自分の部屋となる隣へと運んだ。
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