ヘビロテ躁鬱女
 それに……さっきから気になっていたことがある。


いつもなら無造作にテーブルの上に置くか、ベットの上に放り投げている携帯が、カーペットの手元近くにあること。


そして、その携帯にチラチラと視線を何度も投げかけていること。私からすれば、今日の鉄平は全て不自然だらけだった。


「鉄平! 好きに決まっているじゃん! ジーパンじゃ堅苦しいでしょう? スウェットにはき替えたら?」


「あ……うん。そうだな」


鉄平は重い腰をあげ、いつも穿いている灰色のスウェットを手に取ると、ジーパンを脱いだ。


だけどその動作の間にも、私に悟られないように、気づかいながらも盗み見ていた。
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