ヘビロテ躁鬱女
「誰かから……連絡が来るの? さっきから携帯をちょくちょく見るよね」


ビールに口を付け、チクリと突いた。


「え……見てないよ? 気のせいじゃない?」


――嘘ばっかり!


偽りと感じながらも、彼のまん丸の瞳を見詰めていると、本当のことかなーとだんだん思えてくる。不思議だった。


「鉄平は私のこと……好き?」


「え……? ――うん」


彼が重く言う呟きに、苦笑いをしてベットの上に移動した。背中から両手を回して抱きしめた。


――鉄平の心がここにありますように……。


確かめたい温もりは、願いでもあった。
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